ビジネス上での重要な意思決定である設備投資の判断。俺は絶対こうしたいんだ、という強い意志でもって勝負することもあるだろうけど、基本的な基準というものがある。
簡単に言ってしまえば「元が取れるか」ということであるし、「他の運用方法よりも得かどうか」ということである。
通常はキャッシュフローを計算し、何年で元が取れるか、あるいはキャッシュインの利回りが何パーセントになるかを見ることになる。投資した設備が壊れてしまうよりも短期間で元が取れなければならないし、設備投資のために借金をしたのにその利息も支払えないのでは意味がないからだ。
装置を1,000万円で導入(設備投資)し、これによって1人分の作業が軽くなるとしよう。大雑把に1人分の労務費(給与だけでなく諸費用も含めた金額)が500万円であれば、2年間で元が取れる計算になる。これはかなり単純化しているので、実際には装置の維持メンテナンス費用やエネルギー費等の諸々経費が上がるので、その点はきちんと参入しておかなければならない。
そうではなく、新製品とか新サービスを提供するために必要な設備投資という場合。この新製品や新サービスによる利益を投資に対するリターンとして計算することになる。たとえば1,000万円で装置を導入し、これによる売上増加が年間2,000万円で儲けが10%なら5年間で元が取れることになる。
ちゃんとした計算をするのなら、前述のような増加する諸経費も盛り込み、利益に対しては税金も考慮しなければならない。ここでは計算方法の詳細を説明することが趣旨ではないので割愛するが、新製品や新サービスでは従来とは違う費用が掛かったりすることはよくあるのだから特に注意すべきだ。
そうやって計算をしていくということは経営に関する教科書とかにも書いてある。実は一番大切なことは、浮くであろう費用が本当か、とか、売れるであろうという見込みが本当か、というようなことだ。
たとえば1人分の作業が減ると言っても、実際のところ、その1人をクビにできるのか、というと何とも言えない。労務費が浮くと言いつつ、結局他の仕事をやってもらうのだとすると費用は減らない。より重要な仕事をしっかりやってもらうということなら、それによる「得」を計算するべきだ。誰かをクビにするとかではなく、1人分というのが沢山の人達の仕事を少しずつということなら、残業代が減るとかの効果を計算しようよ。
新製品や新サービスに関しては、売れるのかという大きな課題が存在する。もし売れたとしても他社との競争で売上が減ったり値下がりになったりするかもしれない。自信があります、営業も必ず売れると言っています。みんな新しいことをやりたいんだろうけど、信じていいものなのかね。
これってきっと便利だろうって100円ショップでなら衝動買いもするけれど、貴方にとっては会社の金ってその程度のものなのか。だったらなおさら、任せたくはないんだって気もしてくる。きっと売れるに違いないからって、根拠の無い自信で会社の(他人の)カネを遣うって、遊びでやってんじゃないぜ。
ちょっと言い過ぎだかな。
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