無事故無違反だってことは誰も信じてくれないんだけれど、ゴールド免許を持っている。で、久々に免許の書き換えに行ってきた。行く前に色々とネットで調べてはみたものの、いくつか解らないところもあったし、次回の時に読み返すつもりでその辺を書いておこう。
まずは、ネットで手順を確認してみた。
そして驚く。今はIC免許証って言うんですか。なんかもういつの間にか免許証もサイバーになっている。全く気付かずに使っていたんだけど、それで申請書がするっと作れてしまうらしい。てえことは、あれですか。ねえねえ、代書つうか書類を作らなくっていいんすか。それマジすか。へ~~。
確かに免許証をよく見ると非接触ICカードにありがちな丸っこい微かな膨らみが見えますねえ。ここに色々とデータが入っているということですね。住所氏名とは年齢とか、免許の種別とか…。だったら、taspo機能を持たせてタバコ買わせてくれたら便利だし、税収増加ってことで良いんじゃないか。
若い方のために(?)ちょっと脱線しておくと、以前は交通安全協会で免許の申請書、つまりは台紙を作ってくれていた(要するに代書屋)。実は代書屋に頼まないで自分で台紙を書き込んでも免許は作れる、いや、昔は作れた。今は知らないが実際に作ったことがある。名前の画数が多いもんだから製図ペンで丁寧に書き込み、持ち込んだ写真をずれないように貼付して窓口ですんなり受理してもらった。やったぜ、交通安全協会を出し抜いてやったぜ。ふふふ、まあ1回目の挑戦でやれたんだからもう怖いもんはないぜ。恐るるに足らず。次回からは奴らをまた働かせてやろう。だってこれって結構面倒臭いから頼んだ方が楽じゃん。
ちょっと話が離れていってしまった。戻そう。
警察(だったかな)から免許書き換えの通知ハガキが届くわけだが、それを見ると藤沢警察署か鎌倉警察署のどちらかに行けと書いてある。そりゃあ藤沢の方が近いが、どのみち会社は休むんだからどっちが得かを考えてみよう。実に冷静だ。
まず交通費は、藤沢なら頑張れば歩けないこともない距離だが、頑張る気もなくバスで往復だから400円弱。鎌倉となると江ノ電で往復だから「のりおり君」で600円。あれ、意外と大差はないような。別に時間が押しているわけでもないし、200円で湘南散歩がついてくるってか。ここで気持ちは大きく傾き、もうすでに決まったも同然であったが、さらなる理由付けを探し始める。
鎌倉なら即日交付ができるため申請用写真は不要だそうだ。むしろ「持ってくるな」と書いてある。そうすると、証明写真の撮影費用もかからないんだな。金額はよくわからないけど500円くらいは浮くような気がする。そして即日交付であればその日のうちに受け取ってくるから郵送費用はかからないわけだが、そうでなければ取りに行くか郵送を頼む必要がある。郵送の費用は、まあ1,000円はしないと思うけど。そんでもって、写真撮影だの郵送だのとなるときっと交通安全協会が出てきて会費を払うと割安だとかなんとか言いながら薄っぺらいビニールのパスケースを押し売りしてくるに決まっている。きっとウザくなって金を払ってしまいそうな自分がここにいる。なんぼやオバチャン、なんや1,000円くらいくれてやらあ。合計ざくっと2,500円。
交通費を含めて、藤沢なら2,900円、鎌倉なら600円。これは明らかな差だ。なんならもう一度言っておきましょうか。藤沢なら…(略)
そして当日。午前中は人間ドックでバリウムを飲み、渡された下剤は服用せずにいざ鎌倉。
鎌倉駅よりは警察署に近そうなので、一個手前の和田塚で降りてゆるゆる散歩しながら向かう。途中でちょいと贅沢目なランチを食べる。だって2,000円以上浮いてるんだから。何故か食欲もりもりで浮いた分はあっと言う間に胃に収まる。ご飯のおかわりが有料だったが気にしない。飯も食ったし、あらためて、いざ鎌倉警察。
警察署に入って行くと左側に交通安全協会。印紙はここで買うしかないので近づいて行くと何やら言われてうなずいて3,100円。まあこれは必要な物なので買っておく。協会に入るかと聞かれ「今までは入っていたけど今回は入りません」と胸を張って明確な意志を主張。悔しがるのか説得してくるのかと思っていたものの、どうということもなく「はい、じゃあ、奥の左ね」って、こちらの気持ちがスルーされる。さては既に別のビジネスモデルを見つけたか。まあいいや。どんな窓口があるのかなあとそこらをキョロキョロ眺めていると再び「奥の左よ〜」。聞こえてますとも行きますとも。
奥の左に行くとネットで調べた通りのATMぽい機械が置いてある。何やら声をかけたそうなオッサンの視線を感じつつ機械に向かう。パネルのボタンをタッチすると免許をスロットに挿れろと指示が出て従う。今後使うために暗証番号を入力しろと言われ、適当に4桁の数字を2つ入れる。今までの暗証番号は要らないらしい。すると、A4くらいの申請書が出力され、暗証番号が記載された紙っペラがニュルっと出てきて床に落ちる。安っぽい機械だ。すかさずオッサンが寄ってきて「ここに記入して、印紙をここに貼って」。言われなくてもできるんだけどなあ。済ませて戻るとオッサンチェックの後、窓口への提出となる。
燦然と輝くゴールド免許といえど講習は必要。講習のインターバルを待つ時間が一番長かった。スマホゲームで時間を潰していると名前を呼ばれて写真撮影。暗証番号の紙っペラは撮影の時に使うらしい。なるほど、セキュリティを重んじて速攻で捨てたりしちゃあいけないわけか。なんだかなあ。個人情報だの何だのって言い出したらツッコミどころはありそうだけど面倒臭いから許しておこう。そして視力検査をさくっと終えてあとは講習のみ。
ビデオは15分間で出演している女性が割といい感じ。誰やろうなあ。そして先のオッサンの説明が15分間。法改正により信号で右折矢印が出ているときはUターンが可能になったって、今まではダメだったなんて知らなかったんで驚く。いやあ、勉強になった。そうやってまじめに話を聞いたりした後、名前を呼ばれて退出の際に新しい免許証を受け取って終わり。実に簡単。
さて、今回一番面白かったのは待ち時間の出来事。80歳軽くオーバーのおじいさんが視力検査を受けていた。昔の人だから大型が勝手についている免許らしく奥行き視力のチェックをする。「見えている3本の棒が並んだらボタンを押してください」という窓口の説明に「棒? 何?」とか聞き返しているあたりがもうおかしい。3回でのズレ6cm以内がOKらしく窓口の人が毎回読み上げる。「2.5cm」うん、「3.0cm」ほう、もうちょいじゃん、「12.7cm」おっと。「じゃあ、もう1回行きますね」「ん? ボタンいつ押すの?」「ですから、こういうふうに(ペンを持ちだして説明)並んだらボタンをね」「ん? 並ぶの? 棒が?」。視力以前の問題が発生していると皆が気付きだす雰囲気。「じゃあいきます」「7.2cm」「2.3cm」「19.2cm」。あかんやん、おじいちゃん、絶対カンで押してるやん。「目が疲れているみたいだから、ちょっと休みましょうかね」って、そういうことじゃないから。わかっていて言ってるんだろうけど、それはないから。留置して免許返納するまで出しちゃダメってレベルだから。笑いをこらえていると隣に座っている御夫婦(かなりの年配)が、真面目な顔で「やっぱさあ、年寄りは免許返納すべきだと思うんだよねえ」とか小声で話を始める。俺はうつむいて肩を震わせる。やめて、マジで腹筋崩壊するから。
今年一番笑いをこらえた免許の書き換えだったわけです。
でもって、鎌倉小町通りまで散歩していつものように漬物買って帰りました。あのおじいさんと路上で出くわさないことを切に祈る。(あ、鶴が丘八幡でお願いしとけば良かったかなあ)
あなたもいずれ年老いるのですからほどほどに。
そうですね。
物笑いの種や人の迷惑になる前に返納するようにします。